「…は?」
「へェ…あいつにも男がねェ」
「そうなの。そういう事だから」
ブツッ
乱暴な音を立てて電話は切れた。まるでその音はあたしの何かがキレた音のようだった。なんなの。なんなのこいつ。あたしのことからかってそんなに楽しい?意味解んない。最低。
「なァに恐い顔してんの」
「……」
「ケータイとったからか?あー悪かったかた。ホラ」
そう言ってあの人はケータイを投げた。別段悪びれた様子も見せない。なに、なんなの
。自分がどんどん醜くなっていく気がする。
「もう意味解んないっ帰る!」
「は?ちょ、待てよ!」
走って逃げようとすると腕を掴まれてしまって逃げられない。本当に、なんなの。あたしをどうしたいの。
「…そんなに、嫌か」
「………」
「嫌じゃあ、ない」