まずはじめに、自分の耳を疑った。皆から人気があって、クラスの八割の男子が気があるとい、う名前が俺を好き?ありえない。次に、頬をつねってみた。こんなありえないことが起こるのは、絶対に夢でしかありえないことだと思ったから。でも俺は夢なんか滅多に見ない、そして俺の頬はつままれてヒリヒリといたい。「うそだ」「嘘じゃない、よ」恥ずかしそうに、でもしっかりと声を出す名前に心臓が高鳴るのがわかった。どきどき、どきん。顔が、あつい。俺は変だから、変わってるから人に嫌われてるんだ。今までそうだったし、きっとこれからも。そう思ってたのに、思ってたはずなのに、俺はこんなにも名前を望んでる。目の前にいる名前が、よく解らないけど、物凄く、輝いて見える。「退を、始めてみた時から、優しいんだなって思ってたの」忘れない。あの土砂降りの日にあった名前。あの出会いから大分時間が立ったけど、名前のことを忘れたことは一回もない。俺にしてみれば珍しい事だ。高校一年の今、中学のクラスメイトの名前を殆ど覚えていないのに。もしかして、もしかすると、俺は「退のやさしいところが、好きだよ」俺の頬に据えられた儘の手が、たまらなく熱い。どきんどきん。ああ、解った。どうやら俺の思考回路がおかしくなったみたいだ。今なら言えてしまう。「俺も名前が好きだよ」
惚れるって案外簡単

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