確かにちょっと言い過ぎたかもしれない。でもそれは名前が心配だからで…もともとあいつは危機感が足りないから俺がしっかりしなきゃ、と思いすぎていたようだ。挙句の果て名前の話もろくに聞かず、あいつを泣かしてしまった。飛び出していったあいつが向かった先はおそらく総一郎君か太串君のところだろう、カコカコとメールを送って、ゆっくりと立ち上がった。

「高杉あのヤロー」





「落ち着いたか?」
「うん…ありがとう」
「あ、メール」

トシ兄の家で数分、大分落ち着いてきてお兄ちゃんに酷い事しちゃったなって思った。公開しても遅いんだけど、トシ兄は気遣ってくれてるし、総悟も気にしてないように見えて気にしてくれてるから、いつも甘えてしまって情けないなぁ、と思った

「あ、旦那からでさ」
「え、ウソっ」

総悟のケータイを覗き込もうとしたら阻止された。巧くあたしをかわしながら視線はメールを読んでる。器用だなぁ。いつもあたしは総悟に驚かされる。これでドエスじゃなかったらいいんだけどねぇ

「別にもう怒ってないみたいですぜ」
「ほんとう?」

ケータイを閉じてニッと笑う。いくら文面が怒ってないような内容だったとしても、心の中じゃ絶対怒ってる、と思う。怒ってないふりしてあたしをおびき出してまた怒るつもりなんだ!

「あんたのこと心配してやしたぜ」

しかしそんな思いも総悟のひとことで打ち砕かれる。心配?お兄ちゃんが、あたしを?そういわれるだけで悪い事しちゃったな…って思う私はげんきんなのかなするとその様子をみていたらしいトシ兄が「もう帰れ」って言った。あたしは二人にお礼を言って外に出た。総悟の「貸しにしときやすぜ」という悪魔の呟きは聞かなかったことにする。家に帰ろうと思い歩き出す、暫くするとお兄ちゃんが見えた。なんだかボロボロだ

「お兄ちゃん!?」
「…あ、名前」

ポケっと私を見るお兄ちゃんはいつもと同じだけど全身傷だらけ、

「どうしたの?その格好…」
「ちょっとケンカしてきた」

ケンカって…誰とかは容易に想像できた。こんなに心配してくれてたとは思ってなくてなんだか嬉しいような申し訳ないような気持ちになった。

「ごめん、」
「え」
「ごめん、なさい」

俯いてそう告げる私におにいちゃんはふっと笑って「気にすんな」って言って頭を撫でた。その大きな手が優しくて暖かくて涙がでた

てのひら

(とりあえず手当てしなきゃ!)

100129

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