「んん…」

目が覚めたらあたしはベットに寝ていた。どうやら此処は、保健室?消毒液のにおいが鼻を付く。起き上がろうとしたら頭がくらくらしてきて再びベットにダイブ。ぼふんと間抜けな音を立ててあたしは思い切り頭を打った。あれ、こんな事前にもあったような…。

「名前!大丈夫か!?」
「お兄ちゃん」

シャッとカーテンが開いて中に沢山の人が入ってくる。お兄ちゃんに総悟にトシ兄に神楽ちゃんに…高杉先輩!?

「お前急に鼻血だして大変だったんだぞ!」
「え…はなぢ…」
「生徒玄関は血塗れでさァ」
「人間ってあんなに血ィだせるんだな」
「えっ…」

そんなに血流したのか…言われてみればなんか貧血気味のような……。って、お兄ちゃんなんか泣いてる!なんで!?あたしにはまったく今の状況が理解できない。

「あ…あとな、名前」
「ん?」
「旦那ァ、言ってやれ」
「兄としての義務だな、それは」
「ヒューヒュー!」
「チャイナァ黙ってろィ」

うおっほん、とお兄ちゃんがわざとらしい咳をする。皆が囃し立てる声も無くなって、しんと静まり返る保健室。

「俺、は、名前が選んだ奴なら…認めてやるから……ずっ」
「うえ?」
「よく言った旦那」
「今のお前にはそれで精一杯だろうな」
「名前。よかったナ!」
「結婚式には呼べよ」
「…」

一体なんのことなんだ。誰か教えて欲しい。認めるってなに?結婚式ってなに?
あたしが悶々と疑問を浮かべていると高杉先輩がぐっと近づいてきた。え、え、これって、一体…。

「名前…」
「は、はいっ」
「もう一度言う。お前は、俺のモンになってくれるか…?」

その言葉と共に意識を失う直前の事を思い出した。そ、そうだ。あたし、高杉先輩に…。また鼻がムズムズしてくる。お兄ちゃんが言ってた事はそういうことだったんだ。…理解すると急に恥ずかしくなってくる。鼻がムズムズする。でも、答ならもう決まってる。

「よ、よろしくおねがいします!」
「「「「「あ」」」」」

たら、あたしの鼻からまたもや血が流れ出た。な、なんて恥ずかしい…。

「こんな不束な妹ですが、どうぞよろしく頼みまさァ」
「てめーの妹じゃねェだろ」
「俺達からしてみれば妹もどうぜんだ」
「これで名前も男つきアルか…」
「クク…ッ、上等だ」

にやり、相変らずの笑みで高杉先輩は笑った。

バニラ(名前)を追え!

つかまえた!
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