「おはよーアルー」
「神楽ちゃーん」
「わっ、どうしたあるそれ」

生徒玄関でうち履きに履き替えようとしていた神楽ちゃんはあたしを見て驚いた。そりゃあそうだ。だってあたしも驚いてるもん。…今の状況を簡単に説明すると、あたしにまた子ちゃんがぴったりくっついていて、その後ろでお兄ちゃんが「てめ…っぜってえ許さねえ!!」とか叫びながらまた子ちゃんに当り散らしている。更にその後ろでトシ兄と総悟がなにやらヒソヒソと話しているのだ。

「名前モテモテアル」
「あ、あはは」

あたしが自分のクラスの下駄箱のスペースに入るとやっとお兄ちゃんとトシ兄はいなくなった。今度はふたりでなにやら話し込んでいるようだ。また子ちゃんは自分の内履きに履き替えるとまたすぐにあたしのところまで来た。神楽ちゃんはそのようすを見て「おもしろそうアル!」と呟きいきなりあたしに飛びついてきた

「えっ」
「あ!ちょっとアンタなにしてんッスか!」
「お前だけの名前じゃねーアル」
「当り前じゃないッスか!」
「は?お前なに考えてるアル」
「名前は高杉先輩のものッスよ!!」

その場の空気が一気に凍った。今まで呑気にげたばこに入ったラブレターをかき集めていた総悟は、それをビリっと破った。神楽ちゃんは目を輝かせている。これはまずい。そして三年生の下駄箱のほうではお兄ちゃんのものと思われる悲鳴が聞えた。他の生徒たちはしんと静まりかえっている。また子ちゃんの「高杉先輩」というフレーズによってだろう。だって高杉先輩といえばこの学校いちの不良だ。

「名前!高杉のものになるアルか!?」
「あたりまえッス!」
「名前!!兄ちゃんは認めねえぞおおおおお」
「えっ…名前ちゃん…」
「ああ退くん!」

どうしよう退くんが…

大切なお友達なのに!
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