しばらくぎゅうぎゅうしてたら(なんか馬鹿兄妹みたいだなあ…)ケータイが鳴った。こ、これは…高杉先輩専用に設定したやつだ!!

「ごめん、お兄ちゃんちょっと電話してくる!」
「は、え?・・いつもはここで出るだろ…てオイ!!」

健康サンダルを履いていそいで家からでる。なんとなく歩きながらドキドキしながら恐る恐る電話にでてみた。

『よォ』
「高杉先輩!どうしたんですか?」
『なんだか急に逢いたくなっちまってよォ』
「えっ!!」
『嫌だったかァ?』
「い、いえ!全然!!」

「そりゃあ、よかった」

急にリアルに聞えた声、電話に夢中で下向きになっていた視線を元に戻すと目の前には高杉先輩が。

「え、どうしたんですか」
「だから言っただろ、逢いたくなったって」
「あ、ああ…」
「だからお前ェん家向かってたんだけどよォ」
「なるほど」

なぜだか高杉先輩はにっこにこしている(にこにこ、というよりニヤリ?なんだか大人っぽい笑い方するよなあ)。

「ま、逢えて良かった」
「そうですか?なら良かったです」
「…あ、」
「え?」
「それ、」
「…あ、」

まだ耳元においてあったケータイを指差して高杉さんが嬉しそうな驚いたような顔をした。始めてみる顔、大人っぽい高杉先輩が見せるものとは思えないくらい無邪気ないい顔だった。
こういう高杉先輩をもっと見たい

「つけてくれたのか」
「勿論ですよ!」
「よかった」
「高杉先輩だってちゃっかりつけてるじゃないですか」
「まあな」

そのあと面白い話を高杉先輩がいくつかしてくれた。高杉先輩といると楽しい。

「・・じゃあもう遅いしそろそろ帰っか」
「そうですね、」
「送る」
「え、」
「送る」
「・・ありがとうございます」

有無を言わさぬ高杉先輩の真っ直ぐな目はカッコいいけどちょっと怖い。あたしが肯定するように例を言うと満足したのか歩き出した。
なんか…高杉先輩って…

「…ふっ」
「んだよ・・急に」
「いえ、高杉先輩が…」
「俺が?」
「…あ、――」

男の人に可愛いとか子どもっぽいとかって言わないほうがいいかなあ、言わない方がいいよね、どうしよう

「どうしたんだよ」
「やっぱりなんでもありません」
「………」
「……」

じっとりとこちらにガンを飛ばしている高杉先輩が怖い。

「なんだよ」
「言いません」
「言え」
「嫌です」
「言わねえとキスすっぞ」
「やれるもんなら…ってえ!?き、k」

ノイズを響かせてくっついて離れたそれは熱かった。
あたしの脳は要領オーバー、そのあとの記憶は無い。気が付いたら次の日の朝だった。

随分と美形な野獣

(誰かに見られているなんて知らずに)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -