「じゃあそろそろ帰っか」
「え、」
ゲーセン内に掛けられている時計をみるとあっという間に時間は2時半。実にあっというまだった。
「帰り、送ってやるよ」
「ありがとうございます。」
ひたひたと元来た道を歩く、と言ってもあんなふうに走ってきたから良く道は覚えていない。
「あ、そうだ」
「あ?」
「この間はお兄ちゃんがご迷惑をおかけしました」
今更かもしれないけど、こっちの勘違いで高杉先輩はお兄ちゃんに殴られてしまったようだったから、謝っておく事にした。
「・・別に、構やしねェよ」
「よかった…」
ホッと息を吐くともう家はすぐそこ。高杉先輩と一緒にいると時間があっという間に流れていく。
「また誘ってやるよ」
「じゃあその時は、景品の取り方教えてくださいね」
「・・上等」
ニッと笑った高杉先輩はそのまま、恐らく高杉先輩の家のある方向に歩いて行った。あたしはそれを見送ってから家に入る。がくんと体の力が抜けたみたいで、すぐにへたり込んだ。た・・楽しかった…!!
ケータイにミ○ーのキーホルダーをつけてみた。にやりと勝手に笑みが零れてくる。他にもいろいろとぬいぐるみをもらった袋をあけてみると、一枚の紙切れが出てきた。
「これ、高杉先輩の…!!」
ぎゅ、と紙を握り締めた。そこに書いてあったのは高杉先輩のメアドと電話番号。今日はなんでこんなにいい日なんだろう。あしたから不幸のどん底におちたりしないか不安なくらい良い日だった。
ゆうやけこやけ
(いつメールしよう…)
100331