あれから2、3日たって、ついでに土日も挟んであたしはすっかり元気になった。
「本当にだいじょーぶ?」
「お兄ちゃん、心配しすぎだってば」
朝からこんな会話を幾度と無く繰り返して、あたしより遅く起きて慌てて支度しているお兄ちゃんを置いて家を出た。ら、
「よォ」
「…よ、よお」
どうしてここに高杉先輩が…。っていうかいつから居たの?
あまりにビックリしてそれを訊く事は叶わなかった。その代わりに変な返事をしてしまっって、それをみて高杉先輩がくくっと笑っいて、なんだか凄く恥ずかしくなった。
「どうしたんですか?」
「…行くぞ」
ぐんっと手を引かれる。わ、と声を出すとまた高杉先輩が笑うのが解った。笑い方、綺麗。
…って、流されてる場合じゃない。
「あ、あの!」
「あァ?」
「どこ、行くんですか?」
腕を引かれて腰が低くなっている状態で高杉先輩を見上げると、きょとんとしている先輩の顔が見えた。
「どこって…学校だろ?」
「へっ」
「お前…何考えてんだ?」
「あ、そ…そうですよね」
不可解を絵に描いたような表情をする高杉先輩。そりゃあそうだ。平日、高校生のあたしたちが行くところといったら学校に決まってる。でも高杉先輩は不良って有名だから…どこか連れ出されるかと思ってた。
「…それとも、」
「はい?」
「このままサボっちまうかァ?」
ニヤリ、と至極楽しそうな顔をする高杉先輩はあたしの腕を掴んだまま走り出した。学校とは正反対の方向へ。微妙な姿勢なあたしはバランスを崩しながら辛うじて高すぎ先輩の後を追った。
ああ、またお兄ちゃんに怒られそうな予感
先輩と逃避行
100307