私は、屋上で仁王立ちしていた。
無論、高杉先輩を待ち伏せするためだ。一時間目は得意な国語だったけど、そんなモノは無視することにする。
いつも通り学校に行って教室に行って、授業が始まる前にさりげなく教室を出てきた。出てくるときに総悟と目が合ったけど、気にしない。私がこんな馬鹿な行動にでることは、多分気づいていたと思う。それでも何も言わなかったんだから、私は気にしなくてよいのだ。

しかし、この行動には明らかな欠陥があった。
高杉先輩がいつ来るか分からないことだ。それ以前に来る来ないの問題ではないのか、と思う人もいるかもしれない。しかし私には来るという確信があった。とくに理由はないから、まさしく直感だ。しかし何時間目にくる!みたいな確信は、残念ながらない。一人で仁王立ちするのもなんだか虚しくなってきたので、フェンスの根元に座ることにする。冷たい風が吹いた。少し肌寒い。
二の腕を擦りながら暫くケータイを弄っていたけれど、一向に開かれる気配のない扉を見て、教室に帰ろうかという気持ちが湧き上がる。
…いや、ダメダメ。絶対待つんだから。フェンスに背中を預けて三角すわりをして、私は再び見えない敵との戦いを再開するのであった。



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