私の隣の席の男子、私がマネージャーとして活動している男子バレーボール部のセッター、究極の変な奴、影山飛男。

だいたいいつもぐんぐんヨーグルを飲んでいる。

そんなに身長が欲しいか。それともただ好きなだけなのか。平凡を生きる私にはわかりかねる。
だいたい何故運動音痴略してウンチを自他共に認めざるを得ない私が、男子バレーボール部略して男バレのマネージャー略してマネをすることになったのかと言うと、それも影山飛男、略してぐんぐんヨーグル男のせいなのだ。

「苗字」
「ん?」
「放課後空いてるか」

これだけである。
だいたい何故ぐんぐんヨーグル男は私が部活動に所属していないことを知っているのか。何故私を男バレのマネに誘ったのか。なぜ一言二言しか言葉を交わしたことのない私なのか。そんな数多の謎も今だから湧き出すものであるわけで、その時の私はその後男バレのマネに半強制的にさせられるとも知らず、ただただ訳がわからず、ただただすとんと頷いてしまったのだった。

「清子さん、私用具室の掃除してきますね」

清子さんは整った顔でこくりと頷いた。

ぐんぐんヨーグル男は私を半ば強制的に男バレのマネに仕立て上げ、その後特に何もしてこない。一体なんなんだ。
私がもたもたと用具室の掃除をしていると、背後で物音がした。

「苗字」
「ぐ、影山くん?」

ぐんぐんヨーグル男だ。振り向くとかなりの勢いで私のジャージの襟を掴掴んだ。頭が思考をしないうちにごっつんこ

「い、いたい」
「悪い」
「なんで」
「知らん」

し、知らん!?なんの前触れもなく突然他人の唇に噛み付いといて「知らん」!?
しかも、噛み付くったって、ロマンチックなキスの表現の「噛み付く」ではない。ガチが唇に歯が食い込んだのである。私の無垢な唇はヒリヒリとした痛みをもよおす。これは断じてファーストキスなどというものではない。ノーカンである。バレーで言うならブロックアウトだ。確かにぐんぐんヨーグル男の猛烈アタックは私のブロックに阻まれた。唇は触れ合ったがボールはアウトラインの外側に落ちたので問題ない。確かにこれで私は一点失ったけど、ファーストキスを奪われるよりははるかにマシだ。ここで問題なのは、ぐんぐんヨーグル男がここでマッチポイントを迎えたということである。

「ぐ、影山くん」
「なんだ」
「普通、男子は女子に噛み付いちゃいけないんだよ」
「は?噛み付いたんじゃねえよ」
「え?」

「キスだろ、今の」

残念、ゲーム終了。ついでにファーストキスも奪われた。

「ぐ…影山くん私のこと好きなの?」
「俺にわかると思うのか」
「わかってもらわないと困る…」
「さっきからそのぐっての何だ」
「え?ぐ…影山くんには関係のないことだよ!」
キスの仕方を教えてあげませう


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