「ったく…酒の飲み方ぐらいいい加減覚えろよ」

今俺の家で酔いつぶれてるこいつ、名前は、幼馴染のようなものだ。
夜な夜な飲み歩いては自宅があるにもかかわらずここに帰ってくる。もしくは電話で俺を呼ぶ。
いくら俺がもう風呂に入って歯磨きもして布団に入る一歩手前だったとしても、こいつの声を聞いたら迎えに行かないわけには行かないわけで。
飲み屋の旦那に彼氏と勘違いされるのにも、もう慣れた。

確かに迷惑と言ったら迷惑だが、他の男を頼られるよりずっといい。

俺はまだ19で、酒を飲んだことなどないからこいつの気持ちは正直わからない。
だが、こうして無防備な寝顔を見ている時だけは。こいつが年上だとか、俺はまだ学生だとかどうでも良くなって、そっと頬をなでてやったりできてしまう。

「ん……」

私が年上だから、遠慮してるでしょ。
だったら、私がこうして酔いつぶれて、子供みたいにあなたに甘えて、あなたを求めたら、あなたは私を受け入れてくれる?
いいえ、あなたは、私なんかよりずっと大人だった。
こうして意識の淵であなたに頬を撫でられることだけが、私をほんの少しの幸せで満たしてくれる。

だけど、それじゃ足りないの。

「…名前」

ねえ、銀ちゃん。
お願いだから見て見ぬふりはやめてよ。
他の誰のものにもならないで。

たったそれだけでもわたしはすごく夜がこわくなって、たまらなくあなたがほしくなった


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