この時点で既に私は半泣きだった。だけど困らせたくなくて、泣くなんて私の本位ではなくて、精一杯涙をこらえていたけれど、きっとバレバレだったと思う。

「そっ、か…辞めるんだ。バスケ」
「はい。でも、僕はバスケが好きです」

濁りのない返答が黒子らしい。俯いていた顔を上げると、想像よりも悲しそうな彼の表情が見えた。
そりゃあそうか、彼だって本当は今バスケを辞めたりしたくないんだ。

「理由は聞かないし、なんとなく解る気もする。私も…今の皆は好きじゃない、かな」
「…そうですか、」
「今の…今の皆は好きじゃなくても、皆は好きだよ、大好きだよ。」

伝えたい想いが多すぎて、うまく言葉に纏まらなくて、自分がもどかしくて。
決して黒子の決意が悲しいわけではなくて。自分じゃどうにもできない程気持ちが高ぶって、私の声はもうどうしようもなくなって、濁った。

「黒子のバスケは、昔も、今もっ、好きだよ」
「…ありがとうございます」

「今、こんなこと言うべきじゃなかったよね…ごめん。」
「でも、嬉しかったです。僕も名前さんが好きでした」

思わず黒子の顔を見るけど、それは間違えようもない。
やさしい、優しい笑顔で、今更知ったその思いが恥ずかしくて、俯く。
黒子はそんな私の頭に手を乗せて、囁くようにこう言った。

「高校に入ったらまたバスケをします。僕が彼らを超える選手になれたら、その時に返事を聞かせてくださいね」

きっとまた恋に落ちる


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