大変だ。
このなんとも言えないお腹と腰の痛み。限りなく底に近いテンション。カッチカチの隊服、ヒール。目の前にいる相手は職場で最も面倒な男。

「………」

愛くるしい蜜色の髪やくりくりした瞳とは裏腹に、こいつはサディスティック星の皇子様なのだ。絶対に言えない。生理痛で休ませてほしいなんて。
どうしてよりによって今日の見回りペアがこの人なんだ。山崎とかだったら気を使ってくれそうだ。土方さんだって無理に仕事しろとは言わないだろうし。うう、おなか痛い。どうして今月だけこんなに痛いんだろう。

「どうしたんでィ、顔色悪いですぜ。腐ったカニでも食いやしたかィ?」
「なんでカニ限定なんですか…大丈夫ですから…放っておいて下さい…」
「うそうそ、わかってまさァ。オメーアレだろ、生理だろィ」
「え…なんで」
「アリ?まじで?」

とりあえず私は沖田さんを殴ってもいいと思います。

「くそ…っこの月からの使者ミッフィーの呪いから解き放たれたら絶対お前を殴ってやる!」
「おー、イライラしてやすねィ」
「お前のせいだアアアァァァ!!」

…もうだめだ。腹に力いれちゃった。今漏れた感じがした。もう駄目だ。私…ここで死ぬんだ。
ガクリとその場に膝を付くと、沖田さんがしゃがんで私を覗き込んだ。至極無表情で、私の腹を擦る。そして屈んだ時にできる腹のたるみをつまんで一言。

「こりゃ重症だねィ、仕方ねーからそこの団子屋で三十分休憩してやらァ」
「…沖田さんなんて嫌いだァ…」
「そんな悲しいこと言わないでくだせェよ、俺ァ名前さんのこと嫌いじゃないですぜ」

その三十分を愛しなさい


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