余計な気を回すちからに長けていると思う。私及び銀時の周りの人々は。少しは恋人らしいことをしろと、彼らに家を追い出されてはや数刻。私達はベッタベタな星空の下に居た。原付きの傍にしゃがみこんで、夜のせいで真黒に見える草をむしりながら、かつて私たちの憎んだ星々を見上げた。「すごいね」「ああ」「きれい?」「そうだな」「金平糖みたい」銀時は別に、適当な相槌を打っている訳ではないようだった。「食いたくねえなぁ」ぽつりと吐き出された銀時の言葉は、寒さと共に私にじんわりとしみた。「でも、きっと美味しいんだろうね」「あんなでけーモン、俺にはとっても無理」少しだけ、銀時に身を寄せた。「ひとつだけ、あの星だけ、食べてみたい」銀時は私を拒むことはせず、瞳を瞑り、口元に僅かの笑みを浮かべて「きっとまずいぜ」と言った。銀時は知らないかもしれないし知ってるかもしれない。あれは、北極星だ。

朝のニュースで、新人と思しきお天気お姉さんが言った。「明日から、江戸全域が春の温かさに包まれることでしょう」今日は肌寒い日だった。結野アナの占いを待っている銀時に、ひとりごとのように「楽しみだね、あした」と呟いた。返事は返ってこなかった。

銀時はあんなだけど、きっと私を嫌いではないんだと思う。

「明日は温かいんだって」「知ってる」「一緒にひなたぼっこしようね」「そうだな」「ねえ銀時」「ああ」「わたし幸せだったかな」「俺が知るかよ」「じゃあ、銀時は」「うん」「私と居て幸せになれた?」「そんなの」「言ってよ、お願いだから」「すげー幸せだったよ、こんなんでも」「そっか」「そうだ。満足したか」「うん、それじゃあ」「ああ。じゃあな」「愛してた。もっと幸せになってね」「俺もお前を

意識が途切れた。もう何も見えない。聞えない。感じない。幸せだったよ、私。私の体の一部であるはずの心臓が私を嫌っていても、その分銀時が私を守ってくれていたよ。もう終ったことだけど。死んだあとの世界なんてよくわからないけど、後悔がない訳じゃないけど、これからもあなたをみまもらせて。

愛してるよ。お前が死んでからも、ずっとずっと、お前だけ愛してる。だから俺が行くまで、浮気すんじゃねーぞ」


(星の光が僕の頭上で揺らめく。どれほどの星があったとしても、君は居ない。)
A stellar light flickers on my head. Even if there is how much star, you are not.


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -