「あ、名前じゃねェか」

俺が名前ちゃんを屯所の前まで見送ると、沖田さんの声がした。その声に名前ちゃんは背筋をピーンと張って緊張した表情になる。俺は被害を受けないうちにそそくさとその場を離れ、影ながら名前ちゃんを見守る。

「ご、ご主人様…!」
「屯所なんかに何のようでィ」
「ひっ土方君にケーキを頂いていたのであります」

びっと敬礼のポーズをする名前ちゃん。沖田さんは満足そうに笑んだ。こ、恐い…!ドSの顔だ!

「へェ、うまかったろィ」
「はいとても!現世にはこんなにおいしいものがあるのですね!」

きらきらと子犬のように瞳を輝かせる名前ちゃん。

「…今度、あのケーキ屋に連れてってやらァ」

ほーんの少し顔を赤らめて視線を逸らしながら沖田さんが言う。やっぱり流石の沖田さんも名前ちゃんの悩殺笑顔には叶わないのか…!

「ほんとうですか!?ありがとうございますっご主人様!」

ああもう、ノックアウトだな

げつないと思った


あの沖田さんがデレるなんて…。


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