「…そろそろ帰りやしょう」
「きっと土方君も銀時も私を心配している…」
「そう気に病むことはねェ。あいつらは全部俺のせいにするだろうねィ」
「それでは…」
「だからテメーは気にしてねーでヘラヘラしとけ」
「へ」
「俺は楽しかったですぜィ?お前と1日デートして」
「………なっ」
「だから最後に、俺の提案にノッてくだせェ」

時計一回分。

ご主人様に手を引かれて屯所に戻ると、ボロボロになった土方君と銀時が門も前で殴りあいをしていた。

「どうしてテメーはよりによって総一郎君に名前を預けんだよ!」
「うるせえな俺も気が動転してたんだよ!それよかアイツを野放しにしてたテメーに問題があんだろーがアアァ!」
「あべし!」
「へぶし!」

相変らずふたりは元気だ。そのことに少し安心する。

「あ!」
「んだよ」
「名前っ!」
「何っ」

本当に彼らは20代後半の大人なのだろうか。実に子どもじみている。私は作戦を実行するために、ご主人様の隣に立ち、必要以上に密着した。

「名前!」
「土方君、すまない。今回の事件は誤解だったのだ」
「今更んなことどうだっていいんだよ!名前無事かっ!?」

予想通りの反応に、私とご主人様は顔を見合わせ、にいっと笑む。

「ああ、実に楽しかった。土方君、銀時。私はご主人様に、女にしてもらったのだぞ」
「そうですぜィ、2人とも。」
「な……なに…?」
「総悟…お前…」
「な、言ったろィ?」
「はい。その通りです」

私の髪には、黒い蝶のあしらわれた髪飾り。ご主人様が買ってくれたものだ。女らしいものを殿方に買ってもらったのだ。女としての階段をのぼったと言っても過言ではない。つまりは、そう言うことだ。

「お父さんは許しませんからねっ!」
「総悟オオォォォオオ!切腹だア!今すぐに!!」


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