冬休みの時間を利用して名前に会うために上田に帰ってきた。本当はここは僕の故郷じゃないんだろうけど、ここに来る時はいつも帰ってきたという言葉を使ってしまう。それはここが、僕が成長できた場所だからなんだろう。大きな陣内家の敷地内に入ると、夏の時とは一味違った風情を醸し出している。荷物を納戸に置いて名前を探す。だけど早々に師匠に修行をしようと言われた。断るわけにはいかないし、もしかしたら名前もいるかもしれない。

「佳主馬くんひさしぶり」

やっぱり、いた。久しぶりに逢った名前はちょっと髪が伸びて大人っぽくなっていた。

「…ひさしぶり」

流石に雪が積もった外で裸足でやるわけにも行かないから、縁側の近くの広い畳の部屋ですることになった。ここはあまり人もこないので集中して身体を動かす事ができる。…だけど、今は名前の視線がきになって中々集中できない。そんな僕に、師匠は修行を一時中断してしまった。

「佳主馬」
「はい」
「そんなに名前が好きか!」
「「うえ!?」」

師匠はうんうんと頷いてわしの孫がとかなんとかとかひとりで喋っている。僕はそんな師匠のありがたい言葉も耳に入らないほど動揺していた。どうしてばれたんだ!それに、なにも名前の目の前でいわなくったっていいじゃないか!恥ずかしくって名前の方を見れない。師匠が修行を再開させる気配もない。これは…

「か、かずま君…」
「っ」

不意打ち

名前を呼ばれてしまって、ばつが悪くなって振り返る。顔を真赤にした名前はおどろくほど可愛かった。






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