冬休みの時間を利用して名前に会うために上田に帰ってきた。本当はここは僕の故郷じゃないんだろうけど、ここに来る時はいつも帰ってきたという言葉を使ってしまう。それはここが、僕が成長できた場所だからなんだろう。大きな陣内家の敷地内に入ると、夏の時とは一味違った風情を醸し出している。荷物を納戸に置いて名前を探す。名前は兄である翔太兄とこたつで何やらごそごそしている。

「本物?」
「まあな」
「思いのほか重いね」
「そりゃあな」

そんな会話が聞えてきて、ちっとも内容を把握できなかったから早足で翔太兄に近寄って名前が僕の名前を呼ぶ前に翔太兄の背中を思い切り蹴り飛ばした。理由?そんなの必要ない。

「ってえぇ!」
「か、佳主馬くん!」

そんなに痛くないはずなのにこたつから飛び出してごろごろ転がる翔太兄の変わりに、僕が名前の隣に座ると、名前は不自然に両手を隠した。

「…手、どうしたの?」
「やっなんでもないよ!」

明らかに何かある顔でそんなこと言われて、へえそうですかなんて引き下がる奴はいないと思う。名前が逃げ出さないように腕を掴んでこたつ布団から引っ張り出すと名前の両手には手錠がはめられている。

「ないしょでね、こっそり見せてもらったんだ」
「他の奴に言うなって…佳主馬!?おま、ちょっ、なんだよ!」

実の妹になにさらしてるんだ、という僕の拳と共に翔太兄は襖を吹っ飛ばしてどこかに消えた。

圧勝

「お、おにいちゃ…」
「大丈夫、翔太兄なら無事に帰ってくるよ」
「……そっか!」






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