銀時を見て何かを悟ったような顔をしたお伊勢さんは、私と銀時に自分の営んでいるスナックの二階を貸してくれた。家賃は格安。とりあえずこれで寒さを凌ぐことはできるようになった訳だ。うすっぺらい二枚の布団の上に寝転がっって、とりあえず今日は寝ることにする。暫くすると、銀時は私が寝てしまったと思ったのか不意に「あ〜」と実におっさんくさい溜息を洩らした。銀時の反対側を向いてうつらうつらしていた私はびっくりして覚醒してしまったけど、銀時は気づいていないらしい。そして自分の顔に影が掛かったと思うと、突然頭を撫でられた。寝ていると思って気を使っているのか、いつもの銀時にしてはやけに優しい手つきだった。

「もうめんどくせーもん背負ったりなんかしねえって決めたのになァ」

その言葉にぎくりと心臓を掴まれたような心持になった。やっぱり私は銀時に迷惑を掛けているんだ。そう思えてならなかった。銀時は優しい。だけど銀時は、優しさが時に痛みに変わることを知らないんだ。辛い事ばっかりで生きてきて、先生の優しさに温まって、それから先生を失った銀時は、知ることができなかったんだ。やるせなさから、私は唇を噛んでせり上がる涙を堪えた。暫くじっとしていると、いつもは鼾をかくくせに、静かな寝息が聞えてきた。もう、嗚咽はとまらなかった。

わたしの宇宙まで来て


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