銀時があの人の名を口にしたのに少々驚いた私は、次の言葉をみつけられないでいた。
そんな私に気付いてやや首を傾げる銀時。それを見るとかってに言葉か口を飛び出した。

「甘いもの、食べたい!」
「っは?」

きっと今の私はとんでもなくあほっ面をかましているんだろう。銀時の無気力そうな目が見開かれて、まんまるになる。
昼食を取って間もないというのに、それにこれから仕事だというのに。今更引っ込みもつかず、もうやけくそだと銀時を睨み続けると、不意に銀時の顔がふっと緩んで、私の頭をわしゃっとかき回した。

「じゃ、行くか」
「え、し、仕事は!?」
「おめーが言い出したんだろうが。あーお前があんなこと言うから、銀さんの胃袋が糖分を欲してるよオイこりゃもう手遅れだ。いくぞ、おら」

手を引かれてよろよろと立ち上がる。玄関までひかれて手を離された瞬間、今まで手をついないでいたという事実に気付く。
何か言おうと思ったけど、銀時はブーツを履いていてこっちを向かない。

つまり、つまり…?


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