「ま、こんなもんだろ」
「やっと終った?」
「おう」

銀時の気が済むまで塗ったり修正したりを繰り返して、陽はすっかり沈み、ぐずぐずに熔けた夕日があたりを橙に染めていた。

「じゃ、飯食って試運転でもしに行くか」
「あ、それはちょっと素敵かもしれない。急いで晩御飯作るね」

銀時がバイクをいじっている間に、私はいそいで家に入っていった。居間に入って、ソファに置かれたテレビのリモコンを見てハッとする。さっきまであんなに沈んだ気分だったのに、今は全然そんなことはない。もしかしたら、銀時が気を使ってくれたのかもしれない。銀時はあのニュースを見て無いのだからそんな筈はないのだけど、そう思うとなんだか凄く嬉しくて、そういうことにした。私は手に付いた汚れを念入りに落として台所に立つ。

「なんか今日手ぇ込んでね?」
「ちょっといいことがあったから」
「ふうん」

見透かすように、そしてまんざらでも無さそうにニヤつく銀時を小突いて夕飯に箸を伸ばした


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