ゆっくりと紫煙を吐き出すと、戸の向こう側に人の気配を感じるような気がした。だけどそれは気のせいで、俺は煙を吐き出した肺で更に溜息を吐く。
肺の中がからっぽだ
何故か、いや理由は解ってる。ずっと俺の脳から離れてくれない姿、笑顔、涙、言葉。ぐっと息を吸い込むと鼻がツンとした。面倒くさい、ガキか俺は。
自分から否定した途端にその姿が尊く思える。年の差なんて、職業的な壁なんてどうでもよく思える。
いいや、だめだ。
煙で満たされた肺でもう一度考える。あんまりにも無茶だ。もしうまく行ったとして、どこで会う?もしも生徒や同僚に目撃されたら?社会的に死ぬだろう、俺が重点的に。
再度紫煙を吐き出す。脳みそが溶けそうだ。
待てよ、早まるな。もし、アイツが卒業まで待ってくれるなら?それでもアイツがいいと言うなら、俺は…いやここで言葉にする必要はない。社会的な体裁は問題なくなる。俺とアイツの問題だけになる。そりゃ、人間的に不快感を覚える奴はいるだろう。アイツがどんだけ大人の女になろうとも、お互いが好きあっていても、俺とアイツは"教師と教え子"だ。それは一生変わらない。
煙草を灰皿でもみ消す。
そんなこと、どうでもいいか。




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