機械的に黒板の文字をノートに書き写して、銀時君と高杉君にそれを妨害されていたらいつもどおり放課後になった。足取りも軽くコンビニに向かおうとする私を阻むのはやはり銀時君と高杉君。2人ともなんとも言えない顔でこっちを見ている。

「そろそろ吐け」
「は?」
「お前なんでバイトしてーんだよ」

ああ、言ってなかったっけ。私はあからさまにそんな顔をした。そしたら高杉君が見たこともない位恐い顔をする。「お前はいっつもそうだ」きっと高杉君の怒りの中には思うように割の良いバイトに入れないもどかしさもあるんだろう。「俺達に何にも言わないで何でもやっちまう」

「ごめんね」
「なんだよ、それ」
「振り回してごめんねって言ってるの」

なんだか自分でもびっくりな冷めた声が出た。心はこんなに穏やかなのに。銀時君高杉君、こんな氷みたいな表面の私に騙されちゃだめだよ〜。

「私は皆と一緒にいたいなって思ったの。ダメだったかな」
「ダメだなんて言ってねえだろ」
「…そっか」

私にはこんな時がたまにある。心と表面の温度差が激しい。まるで自分じゃない誰かが勝手に話してるよう。とても冷たいものに触ってるみたい。手がかじかんで早くここから逃げだしたいって思う。

「高杉君」
「んだよ」
「やりたいことがあるんだ」

高杉君は返事をせずに黙りこくった。続きを言えということだろう。だから私はかじかんだ手を温めるようにもみながらこの間考えていたことをそのまま口にする。心にすこしゆとりができれば氷のような私は消えていなくなる。

「放課後の時間、銀時君とふたりで居るのも楽しいけど、やっぱり高杉君も居た方が絶対に楽しいと思うんだ。だから、バイト。皆一緒で、でお金も貰えるなんてなんて幸福すぎるじゃない。初のお給料を貰ったら3人でファミレスに行って盛大に使おう。もちろん私のおごりで。いっつも銀時君がさりげなくお金を払ってくれているのを実は申し訳なく思ってるんだ。えへへ」

2人は目をまんまるにして私を見た。何にも考えてないような私から、こんなにスラスラと言葉が出てきたのが意外なんだろう。私はふたりを見てるよ。絶対に失いたくない、大切な友達だから。

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