私は今、とても困っている。こんなに困るのは久しぶりだ。
説明しよう。
まず、私の右隣には銀時君、左隣には高杉君。両者もの凄く目つきが悪い。何故なら目の前に沖田君がいるから。そしてそんな沖田君の視線の先…詰まるところ私の背後には土方先生。煙草を落としてしまいそうなほどぽかんとした顔をしている(っぽい)。そして周りにはこの高校イケメン四天王を一目拝まんとする女子生徒達。
…助けて。
事情を説明すると、
私と銀時君と高杉君が廊下を歩いていた→向こうの方から沖田君が歩いてきた→沖田君は(約束したにも関わらず)私の顔を見て不敵に笑み、「この間はどうも」→銀時君と高杉君「なんだよ」→「いや、ねェ?」狙って誤解を招こうとする沖田君、群がる女子→それを目撃した土方先生
…となる訳である。
「どういう訳だ名前」
「いやぁ…?どうもこうもないよ」
「何言ってんですかィ、あんなことやこんなことした仲でしょう」
「いいいい痛い痛いよ高杉君!何もしてないフリして手をつねるのやめて!」
「苗字…まさかお前」
「ひっ土方先生!違います!助けてえ!」
ぶっちゃけ言うと、こんな風に揉み合いになるのはそこまで困った事じゃない。誤解を解けば銀時君も高杉君も土方先生も解ってくれると信じてる。沖田君もきっと、ちょっとしたいたずらがしたかっただけだ。
問題は周りに居る女子たち…。怨念の篭ったような視線を私に全力投球してくる。ヤバいよこれ、眼力で人殺せるよ。
明日からいじめが酷くなるよ…。振り返って土方先生に精一杯助けを求める視線を投げると、有り難くもそれに気づいた土方先生が咳払いをして「と、とりあえず別室で話を聞こう」と持ちかけた。
ざわめく廊下。先生、逆効果かも