「俺、知ってんだぜ」
「はあ」
「お前、土方となんか秘密もってんだろ」

私は迂闊にも目をまんまるく見開いて高杉君を見てしまった。これでは肯定しているようなもの。わたしは後悔しながらも高杉君から視線を逸らせないでいた。絶対に気付かれないようにしていたのに。土方先生もばれないように協力してくれているはずなのに。やっぱりふたりは侮れない。私は嬉しいような寂しいような気持ちになった。

「そしてそれは、お前が朝早く登校することに関係している」
「えっ」
「違うか?」

至極楽しそうに言う高杉君に、罪の意識はないんだろう。その言葉が私をちくちくと責め立てる。

「きっと銀時もうすうす感づいてる」

もう高杉君の顔を見ていることはできなかった。もしもばれてしまったら。そのことを考えると今すぐここを逃げ出したくなってしまう。高杉君はふいに私の二の腕を強く掴んだ。じわりと涙が浮ぶ。高杉君の手はしなやかで力強く、なにより暖かかった。

「なんかあるなら言えよ」
「…っ」
「俺達だってお前を心配したいんだよ。わかるか」

きっと理解しようとしても、私にはわからないだろう。このふたりの考えることなんて。ふたりは私の一番近くに居て、だけど距離を測ると一番遠くにいるひとだ。すぐ傍にいるのに、秤は地球を反対側に回ってしまう。大切だからこそ、無闇に距離を詰めることはできなかった。近づくことは同時に、離れることも意味していた。

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