「きょうからこのクラスの仲間になるコだ」

「よろしくお願いします」


担任の切って貼り付けたような言葉の後、そういってぺこりと小さな頭を垂れたのは昨日俺様のケータイを拾ってくれたあの女の子だった。
妙に男の割合が高いクラスに女の子が入ってきてくれるのはとても嬉しい事で、前の席の旦那と俺様の斜め後ろの席の竜の旦那が「美人でござる」とか「胸でけえな」とかクラス中に聞える声で囁き合っていた。


「じゃあ、空いてる席に座ってくれ」

「はい」


その時丁度空いていた、というよりいつの間にか教室の一番後ろの窓際の席に置かれていた席を担任が指差した。俺様の席はちょうどその前、隣は竜の旦那ということになる。彼女がこちらに近づいてきて、俺様の横を通り過ぎる時、ふわりと甘く爽やかな香りがした。