「落とし物してますよ」

「あ、本当だ。」


後ろから話しかけられて一瞬だけびっくりした。振り返るとなんかゆるふわ系?の女の子が立っていた。手には俺様のケータイを持っている。ケータイ落とすとか、俺様どんだけ無用心なのさ。兎に角この人がいい人で良かった。もしこの人に拾われてなかったらなんて、考えただけでも寒気がする。


「ありがとう」

「い、いえ。それじゃあわたしはここで」

「あ、はい」


そういってそそくさと女の子は去っていった。可愛いなあ、俺様の身近にもあんな女の子居ればいいのに、そう思いながら旦那の家を目指した。ちなみに今俺様は旦那にたのまれたお使いの途中。団子くらい自分で買いに行けばいいのに、今多分旦那は竜の旦那と格闘ゲームに夢中だ。ライバルだとか言い張ってたな、たしか。

でも別に何時もの事だから気にしていない、むしろあの女の子にあえて良かったとすら思う。梅雨に入りかかった6月の空は水色と灰色を混ぜたような、不思議と嫌いじゃない色だった。