「さすが俺らのばあちゃん、日本一だよな!」

いつの間にやら帰ってきていたあのお母さんズの旦那さん達が、一斉におばあちゃんを褒め称えていた。この言葉だけでも、おばあちゃんがどれだけ皆に慕われていて、どれだけ凄い人なのかよく解る。まあそれ以前におばあちゃんが凄い人だっていうのは身を持って体感しているんだけどね。

「ところで健二さん、あんた今日頑張ってくれたんだってね」
「いえ僕なんかみなさんの頑張りに比べたら…っ」
「OZのトラブル直しちゃったのよ!」

謙遜する健二さんを遮るように夏希さんが嬉しそうに手を打った。いっつも引っ込み思案になってしまう健二さんには引っ張ってくれる夏希さんのような存在が丁度いいのかもしれない。佳主馬君と翔太さんの間に座ってちびちびおかずに手を伸ばしながら、食卓の場でもパソコンを手放さない佳主馬くんはちょっとお行儀悪いんじゃないかな、と思い佳主馬くんのパソコンをこっそり覗いてみた。

「でもまだ、終ってません」

パソコンの画面にはラブマシーンのデータなどが難しく文章に表されていたり、英文が連なっていたりと私には難しくて理解しがたかったけど、画面に映ったラブマシーンの画像が一瞬私を見たような気がして恐くなった。

「ラブマシーンを倒したわけじゃないしね」
「――そう、まだ根本的な問題は解決してないんです」
「ラブマシーンて?」
「アカウントを盗むAIだよ」

佳主馬くんがそういうと、皆さんが佳主馬くんのパソコンに群がっていったので邪魔にならないように翔太さんの方にずれると、佳主馬くんにこっちも見ないまま腕を掴まれてしまって動けなくなってしまった。皆さんが佳主馬くんのパソコンを覗き込んでなにやら会議みたいなことをしているけど、ちょっと頭がうまく廻らない私では詳しい内容までは理解できなかった。

「シシシシ」

侘助さんがからかうような声で笑った。皆さんが、面白くないような顔で侘び助さんのほうを見る。今の私の気持ちを言葉で表すなら、まさしく「肝が冷える」だ。

「残念だけど、そりゃ無理だね」
「なんでアンタが、無理だってわかるんだよ!」

感情的になった佳主馬くんが立ち上がって、私もそのまま腕を掴まれたまま立たされる。侘助さん、なんでそんなコト言ってるの。だめだよ。そんな私の思いなんて届くはずもなく、侘助さんの前に立つ佳主馬くんの一方後ろで衝撃的な言葉を聞くことになってしまった。

「だって、それ開発したの俺だもん」

場の空気が凍って、生ぬるい風が私の頬を撫でた。侘助さん…今、なんて。だけどそれは耳の疑いようのない事だった。きっとお酒を飲んだ侘助さんが酔って適当なことを言っているんだと、そう思いたかった。だけど佳主馬くんをじっと睨み、その次に私を映した瞳は酷く好戦的で、酔っている雰囲気なんてちっとも感じられなかった。佳主馬くんの顔がどんどん憎しみみたいな感情で埋まっていく。やめて、そう叫びそうになった。

「ラブマシーンを、作ったの!?」

   
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