「佳主馬くんて中学生だよね?」
「話しかけないで集中できない」

佳主馬くんが相変らずの素早いタイピングでネズミのアバターを攻撃する。あたしはそれをぼんやりながめていた。

佳主馬くん

佳主馬くんはすごいひとだ。色んな世界で利用されているOZで一番強い。いくらヴァーチャルの世界でだって、こんなときに行動できるのは、やっぱりすごいひとだけだろう。あたしは絶対うごけない。今みたいに、訳もなくからだが動かなくなって、ただできごとを見てる。

佳主馬くんとわたしは、違う

「食った!」

はっと顔をあげると、ネズミのアバターはもう居なくて、そのかわりにキングカズマよりも背の高い恐い顔をしたアバターが立っていた。

「…かず」
「こんなのザコだよ」

褐色のアバターの背中についてる輪に、さっきのネズミのアバターの顔があった。哀しそうな顔。

「こいつ、僕の戦術を…」
「コピーしてる。キングカズマのアカウントも奪う気だ」

「そうはいくか!」

   
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