好きなことしてていいよ、と佳主馬くんは言ったけどあたしはずっと佳主馬くんの隣に座ってOMCの試合を見ていた。緊張して動けないとかじゃなくて、純粋に、佳主馬くんの試合や指さばきに見入っていた。見られたらやりづらいかな、とも思ったけど佳主馬くんが何も言わないから、いいよね。

「あっ」

不意にキーボードを叩く指を止めた佳主馬くんが後ろを振り返った。あたしもつられて振り返ると、そこには見たことのないお兄さんが立っていた。頼りなさ気な瞳は、どこか親近感を感じる。

「…なに?気ィ散るんだけど」
「あっ…いや」

お兄さんが必死に謝ってるにも関わらず佳主馬くんはパソコンに向き直ってしまった。残されたあたしとお兄さんはふたりして慌てていた。でもすぐに廊下の先のほうから女の人の声がして、お兄さんは走っていってしまった。

   
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