…となんやかんやありながらも、着々と準備は進んでいた。おおまかな準備が整うころには、佳主馬くんも姿を表し佐久間さんと通話を行っている。

「夏希先輩んちって、なんなの?」

当然の疑問だ。「普通の家だよ」と平然と答える佳主馬くんの横で、せめても私は首を横に振っておいた。

「200テラブロックスのスーパーコンピューターに100ギガのミリ波回線って…そのスペック全ッ然普通じゃないでしょ!?」
「それより内部工作の方は?」
「完璧よ!…ていうかホラ、ラブマに乗っ取られた管理棟のパスを解いたってんでOZじゃちょっとしたヒーローだからな。先輩エンジニアたちも健二の頼みならって協力してくれたんだ」
「へえ…」
「凄いですね、健二さん」

すると、噂をするとなんとやらと言うのか、大人たちの手伝いから開放された健二さんが画面の向こう側にいる佐久間さんに気付いてこっちに来た。

「果たし状を出したいんだ」
「果たし状?」
「差出人はキング・カズマ。"今度のキング・カズマは今までと違う"」
「…なんでお前がそんなこというの?」

きょとんとする佐久間さんに、私から「ここに居る佳主馬くんが、キング・カズマだから」と言うと、冗談だととったのか佐久間さんが「それ、笑うわ」とあしらった。
が、私も佳主馬くんも健二さんも真剣そのものの表情だ。すると佐久間さんはへにゃりと苦いものを食べた顔をした。

「…ガチで?」

  
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