私は佳主馬くんに軽く事情を聞いてみた。そしたら「ああ言ってなかったけ?」みたいな顔をして適当に答えてくれた。どうやら私は皆さんが合戦とやらの準備をしている間に不審な行動をしている男性陣に女性人がかまをかけないように見張って、時にはうまく注意をそらしてくれと頼まれたのだった。大人にまじって行動するのはとても緊張したので、私は夏希さんの傍にいることにした。まだ心の整理がついていないらしい夏希さん(当り前だ。昔からずっとあの心優しいおばあちゃんと一緒にいた夏希さんの心の痛みが、私の痛み程度のはずが無い。きっといろいろ夏希さんにも思うことがあるんだろう)に、迷惑を承知でつきまとう。燃え上がる男性陣とは裏腹に、現実的に事を処理していく(つまりはお葬式の準備)女性陣はさすがとしか言いようが無かった。

「そういえば男共の姿が見えないんだけど」

その言葉にびくんと肩が跳ね上がる。だ、だめだ…。不審な動きをしては。

「万助たちは知らないわ!ほんっと勝手なんだから。今大事なのはおばあちゃんのお葬式です!」
「ねえ健二くんは?お父さんにたぶらかされて変なことしないうちに見張っといたほうがいいんじゃない?」
「う…うん」

非常によくない事態だ。どっちの気持ちも理解できる私は少し迷った。だけどやっぱり先に佳主馬君と約束してしまったのでゆっくり立ち上がろうとする夏希さんの手を掴んだ。夏希さんは優しく私に微笑みかけてくれて、「止めに行くつもりはないよ」と意思表示してくれた。私はほっと溜息をつく。一気に肩の荷がおりた気がした。

「名前ちゃんも、さっき佳主馬にどこかに連れて行かれたみたいだけど、男共変なこと言ってなかった?」
「え?い、いや!?…そんなことは」

万事休す

  
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