「慶長5年7月、徳川秀忠率いる三万八千の軍勢が上田小県に攻め入った。対するこちらの兵力はわずか二千。さて我ご先祖様はどう戦ったのか。わざと敵を挑発し引きつけて城の郭に誘い込むと門を閉め城下町に柵をして閉じ込めた。混乱する徳川軍はなす術なく戦意喪失。撤退した。…これが第二次上田合戦の戦略だ。」
「そのアイデアいただきます」

夏らしいナスやトマト、きゅうりの畑の中で、一枚の昔のものらしい地図をかこんで座り込む私達。至極真剣な顔をして話し合いを進める佳主馬くん、健二さん、師匠さん、理一さん、太助さん。私は彼らを妙な気持ちで眺めていた。どうして私がここに?

「武器の調達はまかせました」
「内部工作はこちらで…」
「了解」
「それから…」

佳主馬くんに呼ばれて、そのまま付いていったらこの作戦会議に強制参加させられてしまった。なんとなく、朝食の時間の居間には近寄れなかったので、1人で宛がわれた部屋でお母さんと連絡をとっていたのに。
ちょっとした回想から意識を今この場に戻してみると、皆さんが手を合わせてなにやら気合を入れ始めたので、慌てて私も一番上に手を当てた。皆さんがこっちを見る。あれ、もしかしてダメだった?慌てて手を引っ込めると、隣にいる佳主馬くんに無理やり手を掴まれてまた一番上に乗せられてしまった。

「名前はおばさん達の目をうまく誤魔化しててよ」
「え?う、うん…?」

「――じゃ、そういう手筈で」
「一時解散!」

  
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