目が覚めたのは、侘助さんが居なくなって、そのまま皆が寝静まって、再び日が登りかけた頃。人々のざわめきの声で、私は目が覚めた。朝早くからどうしたんだろう。その時は前夜の事も思い出さなくて、ただ興味本位でふらふらと声のするほうへ向かっていった。

「だめよ続けて!」
「…無駄だ」
「続けてえ!」

皆が、眠っているおばあちゃんをかこんで大声で叫んでいる。その異様な光景に、なにかあったのかは容易に想像できた。頭から血の気が抜ける。おばあちゃんがいなくっちゃ、侘助さん、

「みんな集まってるな」

5時21分

89年と365日。栄おばあちゃんはその人生の幕を閉じた。

  
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