翌朝、いつの間にかあたしは納戸で寝てしまっていて、目が覚めるともう既に佳主馬くんはパソコンに向かっていた。そしてあたしのおなかにはしっかりと布団がかかっていて、きっと佳主馬くんがかけてくれたんだ。

「おはよう」
「おはよう、早いね」
「師匠と修行しないといけないから」

佳主馬くんは意味深な言葉を残して再びパソコンに向いてしまった。畳みに寝たせいで体が少し痛い。腰を擦ると「さっきケータイ鳴ってたよ」という佳主馬くんの声が聞えて、ケータイに目をやると確かに新着通知が来ていた。メールボックスを開くとお母さんからのメールで、「ちゃんといい子にしてるわよね?」という内容だった。曖昧に肯定して返信すると、遠くの方から激しい足音が聞えてくる。

「いた!パソコン借りてもいい!?」

なんと勢いよく納戸の扉を開け放ったのは健二さんで、健二さんが慌てているのにも関わらず佳主馬くんは余裕たっぷりに振り返って、再びパソコンの方を向いてしまった。

「言い方がダメ、もっと取引先に言うみたいに言って」
「「…へ?」」

意表をつく佳主馬くんの発言に健二さんの目はまんまるに開かれて、でもすぐに正座して頭を下げた。「すみませんがパソコンを貸してください…!」東大生で留学経験もある人が中学生にこれは酷いと思う。佳主馬くんも佳主馬くんだけど、健二さんも健二さんだ。でも、これが健二さんらしいのかもしれない。

「こわさないでよ」
「あ、ありがと!」

そう簡単にパソコンが壊れたりしないのに、正直じゃないのは相変らずらしい。そのことに小さく笑うと、佳主馬くんがこっちを睨んだので慌てて口を噤んだ。

  
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