「へえー、これがあの名前ちゃんかあ」
「えらい可愛い子だねえ」
「これじゃあ佳主馬もああなるのも頷けるな」
「あの佳主馬がねえ」

賑やかな食卓に連れてこられ、さっきのお兄さんとお姉さんの間に座らされる。あたしが来るまでお兄さんを舐めるように見ていた人たちは今度はあたしを舐めるように見ている。そして口々にあたしについての感想を言い、なぜか佳主馬くんの話までし始めた。

「ねえ、名前ちゃん!佳主馬とはどこまで・・・」
「直美さん待って!先にみんなの紹介するから」

身を乗り出す大人っぽい女の人を制して、お姉さんは明るい声色で言った。どうやらあたしにここの人たちを紹介してくれるらしい。そういえばお兄さん。お兄さんもなんだかそよそよしい。ちらりとお兄さんの方をみるとばっちりと視線が合った。するとお兄さんはおどおどしながた小声で「陣内家の人じゃないの?」と言った。「…お兄さん、こそ」とまたまた小声で返すうちに、お姉さんの家族紹介が始まった。

「じゃあまずは…陣内家元当主の栄おばあちゃん、私の曾おばあちゃんよ」
「健二さんも名前さんも、ゆっくりしておゆきね」
「おばあちゃんには4人の子どもがいて、長男万蔵は私のおじいちゃんで5年前に他界――で、本家の長女真理子おばさんとおばさんちの一理さんと里香さん」
「よろしく」

ここについた時にあったおばさんと、その横にいた女の人と、いかにもミステリアスな男の人が軽く頭を下げる。

「次男の万助おじさんと、おじさんちの直美さん太助さん聖美さん」

元気の良さそうなおじいさんと、その横に居るさっきの大人っぽいお姉さん、そして佳主馬くんのお母さんと小太りのおじさん

「そして三男の万作おじさん、おじさんちは男3人兄妹で長男頼彦さんのお嫁さんの典子さん、次男邦彦さんのお嫁さん 奈々さん、三男克彦さんのお嫁さん 由美さん」
「せがれたちは明日顔出すよ」
「高校球児の息子もいるのよ」

眼鏡をかけたサラリーマンっぽいおじさんとふたつしばりをしているいかにもお母さんって感じの人と、可愛らしい新妻、小太り気味のおばさん。どうやらこれで陣内家の人たちの紹介は終ったらしい。お姉さんのルーズリーフに綴られた家系図を見て照らし合わせてみてももうどの人が万助おじさんなのかわからない。それにお母さんズのあたりには小さい子どもが走り回っていて…

「覚えた?」
「う…ん、どうかな…」

困ったように眉を下げて笑うお兄さんに、元気の良いおじさんが「身内になりゃそのうち覚えるさ!」と笑う。このお兄さんが何者なのか、まだあたしには検討つけかねていた。

  
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