「あ、あの、佳主馬くん」
「何、」
「晩御飯…」

どこからか楽しそうな声が聞える。きっと親戚の人一同で晩御飯を食べたりしてるんだろう。佳主馬くんはヘッドホンをしているから気づいてないのかもしれない。だから声をかけてみたんだけど、だから何、という表情で返されてしまった。緊張でお昼のお弁当を残してしまったあたしはお腹が減っている。

「あとで台所に行けば食べれるよ」
「行かなくて、いいの?」
「……あんまり好きじゃないんだ」

何が、とは聞けなかった。あたしのこの性格がそうさせたのかもしれないし、もしかしたら佳主馬くんの本質を見てしまったような気がしてしまったのかもしれない。昨日会ったばかりの人の本質なんて、解るわけない。前から知っていたらしいけど、わたしにはわからない。でもあたしも言わせて貰えばたくさんの人の中にいるのは苦手だ。自分に注目されてないとわかっていても無駄に緊張するし、その人たちの盛り上がりについていけない。

「…そっか」
「ん、」

そう言って佳主馬くんはずらしたヘッドホンを元に戻してパソコンの画面に集中していく。やっぱり佳主馬くんの指さばきはすごい。夜になってユーザー数が跳ね上がったOZ内では佳主馬くんは常にたくさんの挑戦を受け、その全てに完全な勝利を収めている。やっぱり、見飽きないなあ。

  
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