「銀ちゃん!」
「あー?」
「明日、だよ!体育祭!」
「そうだなあ」

銀ちゃんはのんびりした調子で呟いた。でもいつもみたいなめんどくさそうな雰囲気ではなくて、落ち着いたようすで銀ちゃんは目を細めた。あたしは数学の授業をサボって銀ちゃんと最後の体育祭打ち合わせ気来た訳なんだけど、今日の銀ちゃんはなんかおかしい。

「おまえも頑張ったもんなあ、」
「うん」
「夏休み前からさ、高杉も一緒にやらせようって、頑張ってたじゃねーか」
「うん」
「だからさー俺、おまえが頑張ってたの一番よくわかるよ」
「そうだね」
「最初授業なんてロクにうけねえおまえが俺に相談あるっつてきたとき、先生寝取られちゃうかもとかマジで思ったし」
「銀ちゃんの萎びれた棒に興味なんてないよ」
「ひでーなおまえ。まさかあんなツンケンしてた名前が皆で体育祭やりたいなんて言い出すなんてなあ、」
「……うん」
「あいつらもバカじゃねーから、よく解ってると思うよ」
「う、ん」
「あーあー、ホラもう泣かないの。鼻チーンして」

銀ちゃんがあたしの鼻に当てたティッシュに思い切りチーンすると銀ちゃんはやっといつもみたいに笑った。