「しんすけ」
「お、来やがったか」
「何その言い方、失礼すぎ」

晋助達は美術室でパネル係りの生徒達と最後のニス塗りをしていた。どのクラスのパネルも丁寧でがんばって作ったのがよく解る。晋助が慣れたようにハケでニスを広げていくのを眺めながら、昔の晋助を思い出してみた。

「晋助、変わったよねー」
「うるせえ黙れ」
「ヅラもそう思うよね!」
「まあな、」

だって晋助夏休み前までヤンキー気取ってろくに学校にも来なかったのに…そう洩らすと晋助のニスでべたべたな手でほっぺをつままれた。酷い、痛い。

「ふぁにすんのよ」
「ありがとな」
「はっ!?」

お節介かもしれないけど、夏休みの間あたしは毎日晋助の家に通って晋助が学校に来るのを気長に待っていた。そして二学期からなんとか晋助が学校に来るようになった。皆も普通に接してくれて、これはあたしからしてもとても嬉しいことだった。だから、晋助の性格をそれなりに理解しているつもりで、普通晋助はこんなこと絶対に言わないはずで…それで…

「なんか恥ずかしい」
「俺も」

ヒューヒューと囃し立てる坂本を二人でフルボッコした