「はーい、そこでA組とB組は曲がって、」
「それ以外はまっすぐ」

急な行事にも関わらずたくさんの予行練習の時間を貰い、Z組主催の体育祭は着々と準備が進んでいた。全校が一丸となって体育祭に向かっていく姿は主催者としても凄く嬉しい事だ。本部のテントをおく予定の場所からマイクで全校に指示を出す。

「そこで三回回ってワンでさァ」
「ちょ、総悟!マイク返して!」
「嫌でィ、ほら、名前も回りなせぇ」

総悟にマイクを取られたせいで全校が困ってる!マイクを取り返そうと手を伸ばすけど総悟が上手に避けてなかなか取り戻せない。

「土方!ちょ、なんとかしてぇ」
「だとよ、」
「総悟!悪戯はいかんなあ」
「……チッ、ほらよ」

なんでか近藤くんが総悟を叱ると総悟はマイクを返してくれた。どうやら風紀委員長兼剣道部主将の近藤君には総悟も土方も頭があがらないらしい。確かに近藤君の心の広さとかは見習うところがある。でもストーカーはやめたほうがいいよね。

「ごめんね近藤くん、風紀委員の仕事だけじゃなくて応援の方もお願いしちゃって」
「かまわんさ、俺たちだって名前の役に立ちたいからな」
「近藤さんがこう言うんだからしゃーねえ」
「まったくでさァ」

土方と総悟はこんなことを言ってるけど、本当は近藤くんと同じように楽しんでる。顔を見れば一発でわかるんだから。ふふん、と笑むと土方が呆れたように口を開いた

「全校生徒困ってるぞ」
「あ」