「驚かしちゃ悪いと思ったんだけど、気になって」

そう言って星さんはへへ、と笑った。P子さんがそれを見てまったくよ、と溜息を吐いて、ニノさんとリクルートさんがまた何かを言う。たくさんの人のやりとりに慣れてないあたしは、何もいえないままシスターの小指を握っている。

「名前ちゃん」

突然名前を呼ばれて、びくりと肩を揺らすと、わたしを呼んだニノさんは悲しそうに目を細めた。違う、哀しませたくてしたことじゃない。小さく首を振っても、きっとニノさんには通じてない。どうすればいいかわからなくてシスターにくっつくと、星さんとリクルートさんがあ、と声をあげた。それと共にすぐ後ろから草の揺れる音、

「名前」
「、マリア、さん」

きっとたくさんの人に囲まれて混乱しているあたしに気づいたんだろう、マリアさんは牧場からわざわざここまで来てくれた。シスターの小指を握ってないほうの手をぎゅっと握るマリアさんの手は牧場を営んでいるにしては綺麗で、細い。

「わたしはずーっと名前と一緒に牧場にいるのも悪くないわ、だって名前のことを愛しているもの」
「…マリアさん」
「でもね、やっぱり名前にも広い世界を知って欲しいの」
「マリアさん」
「わたしとシスターだけじゃないわ、あなたの仲間は」
「…う、」

わたしはとうとう、泣き出してしまった。ここに来て初めて、人の前で泣いた

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