「シスター、わたし、」
「ああ、大丈夫だ」

そう言ってシスターはその大きな手をわたしの頭に乗せた。ただ乗せられてるだけなのに、この暖かさと安心感はどこから来るのだろう。じわりと泣きたくなるけど、くっと涙を堪えた。嘘だ、こんなに暖かい手がたくさんの人を殺してきたなんて。戦争に行っていたなんて。ずっとシスターは、孤児院の優しい人だった。

「名前のことを泣かせてばかりだな」
「そんな、こと」
「すまん」

わたしの考えが間違っていることは、わたしが一番良く知っている。現にシスターがわたしを守るためにたくさんの武器を使って武器の数以上の人間を葬ってきたことをわたしは見ている。亡骸をあたしに見せないようにあたしに背を向けて銃を手にするシスターは、本来あんな場所に居るべきじゃないはずなんだ。だから、

「シスター」
「……」
「どこにも、いかないで…」

この河川敷からいなくならないでほしい。ずっとここに居て欲しい。できれば、わたしと一緒に。村長さんにお世話になったこともあって、暫くはここを離れないだろうけど、わたしはどうしようもなく不安だ。シスターだけじゃない、マリアさんも。マリアさんは、ここに居続ける理由がない。だから、いつわたしを捨ててどこかに云ってしまうのかわからない。でも、わたしには、ふたりがいないと


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