どうやら私の荷物が届いたらしい。言っても着替えとかしかないからダンボール3個分だった。家具などは両親の引越しの資金のために売ってしまったらしい。重いダンボールを私は1個、佳主馬は2個抱えて寝室に向かった。ここに私も寝ると知って、改めて入るとなんか気恥ずかしい。

「着替えとかはここに入れて」
「うん」

どうやらあたしのために収納ボックスを用意してくれていたらしい。引き出しを取り出して佳主馬とそこに直接服をつめて行くと、ふと佳主馬の手が止まった。

「案外大きいんだね、着ヤセ?」
「!!」

真顔で私のブラを見つめる佳主馬から慌ててブラを奪い取る。息を荒くしながら佳主馬を見ると不服そうな顔をしていた。あなどってた。佳主馬の持っている下着などが入っていたダンボールを奪い変わりにあたしの普通の衣類が入ったダンボールを押し付けると、さらに不機嫌な表情になった。何が言いたいんだ。お気に入りのぬいぐるみのぶーちゃんも無事発見。売られてなくてよかった…。ダンボールを縛って玄関脇のゴミなどがまとめて置いてあるゾーンに置いておくことにした。

佳主馬は台所の方に行ったきり帰ってこない。暑いせいか凄く疲れた。やっぱり関東の暑さってすごいな。リビングに立ち尽くしても暑いだけだったので、とりあえず扇風機のある寝室に入ってみた。やっぱりちょっと気恥ずかしい。

「カルピス飲む?」
「飲む!」

佳主馬がリビングから顔を覗かせた。手にはコップに入ったカルピスがふたつ。このために台所に行ってたのか…。ありがとうとお礼を言ってカルピスを受け取る。それをごくりと咽に押し込むと汗が引いていくのが解る。暑い時に飲むカルピスは最高だ。浅いベットの縁に座ってカルピスを一気に飲み干すと隣に佳主馬が座ってきた。なんでかこっちをじっと見つめている。

「なに?」
「………」
「佳主馬?」

どうしたのだろう。佳主馬に手を伸ばそうとすると、その腕を掴まれた。びっくりして腕を引っ込めようとしても強く掴まれてるせいでびくともしない。だんだん恐くなってきてもういちど声をかけようとして口を開くと、いきなり視界が佳主馬で一杯になった。

「ちょっ、佳主馬!」
「逢いたかった…ずっと」
「え?」

するとそのまま佳主馬はボスンと布団に倒れこんだ。右腕を掴んだまま。佳主馬はもう何も言わなくて、声をかけるにかけられなくなってしまった。ど、どう、しよう。後から唇に触れた感触がリアルに蘇ってきて恥ずかしい。左手で触れた唇は、どうしようもなく熱かった。


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