どうして、こうなった。
私のせい…だよね、やっぱり。
いやでも、条件反射というか、なんというか。…いや、言い訳しても駄目なものは駄目か。兎にも角にも、まずはこの自分のキャラというものをすっかり忘れて慌てふためいているルームメイトをなんとかするのが先だ。…本当にどうしてこんなことに…。
「あの、佳主馬?」
「なにッ!?どうしたの?なんかあった?」
「………」
でるの、こわい。
「いや、なんでもないの。夢が…ウン。寝ぼけてたの。それだけだから。」
「ゆめ?怖い夢見たの?」
「ううん、そういう訳じゃ…とにかく大丈夫だから、安心して?」
「そう…よかった…。」
「……」
「…なに、出ないの?」
「や、うん。出るけど」
気まずく感じる自分を奮い立たせてトイレの鍵を開ける。そしたら勝手にトイレのドアが開いた。そこにはとてもヘンな顔をした佳主馬の姿。
「え、なに、」
「あーもうやだ。なんでこの僕が、名前なんかに…」
「なに、なんで急に俺様になってんの?なに?」
私が声を掛ける間なんだか間抜けな顔で私をぼうっと見ていた佳主馬は、急に変な声を出しながら私の肩にオデコを当てた。
「なに?佳主馬、喧嘩売ってるの?」
「ちがうよ。そんなことも分からないの?ほんと名前って」
「ば、ばか?」
「そうばか。あ〜もうほんとやだ。どうして名前なんかを…」
「カズマクン、ほんと殴るよ」
何故だかわからないけど急に佳主馬が失礼なことを連呼し始めて、そりゃ確かに寝ぼけてあんなことをして悪かったよ?だけどその言い草はどうよ。悪いと思わないわけ?
妙に近い佳主馬に心臓がうるさくなり始めたとか、そんなのはきっと気のせいだ。
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