「ここが俺んち」
「でっ……!」

でっかい!なんだここは。驚きすぎて声が出ない。ぱくぱくと口を開閉していると横に立っている佳主馬がニヤっと笑った。駅から歩いて十分ほどの場所にあったのはちょっとお金に余裕のある人とかが住んでそうな高層マンション。どうやら佳主馬はここで一人暮らしをしているらしい。な、なんてこった。佳主馬って私と同い年だから、18だよね。一応一歩前に立っている佳主馬に聞いてみると「お金ならスポンサーからある程度入ってくるから」と言うことらしい。OMCチャンピオンと言うのはかなりの金が入る職業のようだ。

「いつまで突っ立ってんの」
「ま、待って!今行くから」

暫く見上げれば首が痛くなるようなマンションを凝視していたらもう入り口のあたりに立っていた佳主馬に怒られた。痛くなった首の付け根を擦りながら佳主馬を追いかける。中に入ると涼しくて、大人っぽい綺麗な内装だった。

「俺んちは11階の角部屋だから」
「まじでか」
「うん」

さも当り前のようにエレベーターの方に歩いていく佳主馬について行く。はじめてのこと…と言うか慣れないことに緊張しているあたしの心臓はドキドキと煩かった。凄いマンションにしては狭いような気がするエレベーターに入ると、佳主馬と肩が触れた。でも佳主馬のほうが背が高いからあたしの肩が触れた場所は佳主馬の二の腕辺りだった。ちょっと悔しい。

「何?」
「なんでも」
「女の子はちょっと位背が低いほうが可愛いから」

エレベーターに良くある大きな鏡を見て佳主馬は問題発言をした。いや佳主馬にそういう気がないのはわかってるけど、なんとなく恥ずかしい。どうしようもなくなって俯いているとあの妙な浮遊感がやってきて、やがて止まった。どうやらここが11階らしい。

「部屋、こっちだから」
「あ、うん」




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