その日はシャワーを浴びて十分暖まってから直に寝てしまった。次の日目を覚まして時計を見たらなんと10時。慌ててとび起きてリビングに向かうと一枚の置手紙。

"今日は家の中で静かにしていること。
学校には僕が連絡しておいたから。
いいね"

その端整な文字を見て、がっくりと力が抜けてしまった。なんだ、なんなんだ。学校生活3日目から休みって…一体どういうこと。ソファに音を立てて座り、机に置いてあった佳主馬のノートパソコンの電源を入れた。別にパソコンくらい、佳主馬だって使っても怒らないだろう。自分のもあるけど、取りに行くのがとてもめんどくさい。PCのデスクトップはOZが公式配布しているシンプルなデザインの壁紙だった。画面の右下で、デフォルメされたキング・カズマがメールの通知を知らせている。ケータイで連動してるはずなんだから、ちゃんと見ておけばいいのに。流石にメールを読むのはプライバシーの侵害になってしまうから、可愛らしいキングのアイコンは無視してOZを機動した。オートログインで現れたのは、恐らく佳主馬のサブIDだろう。特になんの変哲も無い普通のアバターだ。そのアバターのままOZの世界を散策する。どこに居てもキングの画像がある。上空高くではジョンとヨーコが気持ちよさ気に宙を泳いでいるし、いつもどおりのOZワールドだ。特に何をしようと思ってOZを機動した訳じゃないので、その辺をぶらぶらしていたら、右上のアイコンが鳴った。チャットだ。チャットを申し込まれている。どうしよう。私はログイン状態を隠しておけばよかったと後悔した。だけど、その見覚えのあるIDに思わずチャットを了承してしまった。このIDにこの間抜けなリスのアバター。健二さんだ。

「健二さん」
「今日授業ないからOZ見てたんだけど、佳主馬くんがいたからつい声かけちゃった」
「そうなんだ」
「…っていうか、佳主馬くんはなんでいるの?」
「えっと、あの…ボイチャに切り替えていい?」
「? いいけど」


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