おかしい。なにがおかしいってもう8時になるって言うのに名前が帰ってこない。確かに門限が早すぎたかもしれないけど、名前はそういうのを破るような奴じゃない。それに、うっかりだったとしても程がある。連絡を取ろうにもOZはメンテナンス中だし、名前のケータイアドレスは知らないので連絡はとれない。いちおう辻本たちにも聞いてみたけど、「7時半ごろに別れたけど…どうしたの?」と言われてしまった。一緒に住んでるんだけどまだ帰ってこないなんて言えない。どうして帰ってこないんだと頭を抱えたところで、やっと名前がまだここに来て間もないことと極度の方向音痴だったことを思い出した。名前が来てから結構いろいろあったせいで、すっかりそんな当然のことが頭から抜けていた。居ても立ってもいられなくなって、上着とケータイを握り締めて家から飛び出した。

とりあえず自転車に乗って学校の方へ走りながら、OZのメンテナンスは何時までか確認する。10時まで。今日に限っていつもより長い。学校に来てみても名前の姿は無かった。もしかしたら、なんて希望があったが、本当にしらみつぶしに探していかないといけないようだった。別にどんな手間も厭わない。ただ、名前に無事でいてほしかった。冬の夜の刺すような寒さの中、制服一枚で、しかもまったく知らない土地にひとりきりな名前を思うと酷く胸が痛んだ。もっとよく考えていれば。後悔したってなにも変わらないのにぐるぐると後悔の念が僕の頭を占拠していく。女子が好きそうな店が沢山ある通り、その付近、学校の周りなどとりあえず思い当たる場所はひたすら走ってみたけど見つからない。じゃあどこに…。ケータイを確認すると時刻は9時半。一度家に戻って帰ってきてないか確認しよう。そう思い立って僕は住宅街へ向かって走り出した。


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