外に出たら息が白かった。そのことに小さく感動して佳主馬のあとについていく。やっぱり道は全然わからない。ガシャンと自転車のストッパーが外されて佳主馬がまたがる。佳主馬の視線にせかされて、渋々自転車の荷台にまたがると容赦なく自転車が動き出した。

「うわ、さむっ」
「誰かさんがダラダラ着替えてるからでしょうが」

暗にあたしを馬鹿にして、佳主馬は下り坂をノーブレーキで駆け下りた。冬の冷たく刺すような空気があたしの頬を刺す。それが嫌で佳主馬の背中に頭を埋めた。そこでハッと気がつく。この体勢…凄く恥ずかしい!!それから数分間動くことができないあたしを、佳主馬が笑っていた。くそう…!

「今日は大丈夫かなあ」
「大丈夫でしょ。辻本達がいるし」
「辻本…さん?」

それって誰なんだろう。昨日の気が強そうな女の人かな。大丈夫かな、仲良くなれるかな。なんて事をぐるぐる考えていたらあっという間に教室に着いた。夥しい量の視線を感じながら席に着いて、鞄を横にかける。横に座る佳主馬を見ると、「じゃあ僕、竹橋んとこいるから」的なことを言って去ってしまった。竹橋って誰。あたしはもうこの世の終わりといわんばかりに落ち込んで、机に伏した。すると上から話しかけられた。

「名前ちゃん?」
「へ?」
「わ、私、辻本夏帆。よろしく」

ちょっと頬を赤くして私に手を差し伸べてくれた。私も手をさしだして握手をする。なんか唐突な展開だけど嬉しい。春日井南さんって言う人も居て、一気に友達が2人できました。佳主馬の言うとおり。よかったあ。


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