それからまた一悶着あって、そろそろ本気で怒るよとあたしが佳主馬を睨んだらようやく渋々佳主馬は離れていった。

「ごはんつくるから早く準備して」
「はあい」

何故だか佳主馬はあまりあたしに料理をさせたくないらしい。どうしてだろう。あんまり私物を触られるのとか好きじゃなさそうだもんね。じゃああたしってここに居ていいの?もしダメだったとしてもあたしにはどうしようもできないし、そもそもダメだったら佳主馬はあたしをここに置く事をはじめから嫌がっただろう。佳主馬ってよく解らない。五年前もそうだったけど、成長してもっとよく解らない。

「ボーっとしてないで、早く」
「時間あるんじゃないの」
「名前がのろのろ着替えてる時間はない」

そう言って再びリビングの方に消えてしまった。あたしを急かしたかっただけか。パジャマを脱いでカッターシャツに袖を通す。エアコンの風をもろに受けていたシャツは暖かい。なんだかんだ言って佳主馬は優しい。ほんっと、よくわからない。

「わかんない」
「制服の着方?僕が着せてあげようか」
「けっ結構!」

恐らくキッチンからだろう。佳主馬のセクハラ発言に断固とした発言で答え、急いでボタンを止めていく。スカートを履いて、カーディガンを着る。…そういえばこれ、前の学校手着てた奴じゃないよね。前の奴はどこ行ったんだろう。もしかすると持ってきてないかも。じゃあこれ必然的に佳主馬のやつだよね。ん…?

「朝ごはんできた…ってどうしたの、顔赤いよ」
「なんでもないです!」


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