クリームパスタは無事に完成した。途中でなんども佳主馬が様子を見に来たこと以外は、実家に居た時となんにも変わらないで作り終えた。いつもよりうまくできたような気もする。よっぽど暇をしていたんだろう、佳主馬はもうランチョンマットもフォークもお皿も全部綺麗に用意してソファーに座っていた。やっぱり顔は不機嫌そのもの。「できたよ、」と一声かけると佳主馬はまってましたと言わんばかりにキッチンへ急行。あたしが手をだす隙もなくクリームパスタを綺麗にもりつけてイスに座った。そのようすをポカンとみつめていたあたしも急いでイスへ。佳主馬がいただきます、と礼儀よく手を合わせてからフォークをとった。なんだか緊張する。

「まあ、マズくはない」
「…よかったあ」

ほっと息を吐いて、じゃああたしも食べよう、とフォークを握った。口の中に運ばれるクリームパスタは、なるほどおいしい。我ながら良くできた。

ピルルルル

「あ、」

テーブルの上に無造作に置かれていたあたしのケータイが鳴った。フォークを一旦置いて内容を確認すると、差出人はお母さん。

名前、新しい場所で元気にやっているかしら。きっと今日ははじめての学校だったんでしょうね。あんまり佳主馬くんに頼ってばっかりじゃなくて、ちゃんと自分でも頑張ってね。もちろん無理はしないように。ああ、あと、最後にひとつ

ピリリリリッ

今度鳴ったのは佳主馬のケータイだった。佳主馬がケータイを開くのを見て、もしかして食事中にケータイを見るのは失礼なんじゃないかと気が付いた。きっと佳主馬も不快感を抱いたはずだ。だからきっと、その腹いせに。

「……」


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